日経ビジネス「【シリーズ】社員が生き生き働く会社」に
掲載されました。
【URL】https://business.nikkei.com/atcl/plus/00057/032400006/
以下、記事より引用
自己理解・相互理解を深める
職場の人間関係改善のために、まず職員同士の相互理解を深めることに取り組んだ。
「相互理解が大切だと分かっていても、実際にはほとんどの場合、理解したつもりになっているだけだ。つまり『相互不理解』の状態にある」と武知理事長は話す。
そこで米国ギャラップ社の強み診断ツール「クリフトンストレングス」を取り入れたワークショップを開催し、全社員で「私の取説(トリセツ)」を作成した。
自分が何に対して悲しんだり、いら立ったりするのか。自分の強み、弱みや性質を理解する「自己理解」が「他者理解」の第一歩だと考えたのだ。この「取説」は、現在も新人研修の際に作成し、全スタッフの取説がグループウエアの「kintone(キントーン)」で開示されている。
さらに、同院では360度評価を採用し、記名式で職員がお互いを評価し合う。ポジティブ・ネガティブ両方のコメントを書くことを条件としている。取説と360度評価をもとに、上司は部下と1on1ミーティングを行う。
「相手の取説を参考にしながらフィードバックを行います。どんな伝え方をすれば部下のモチベーションが上がるのか、あるいは落ち込んでしまうのかを考慮した上で、相手によって言葉を換えて伝えているのです」
記名式でもスタッフがネガティブな意見を安心して書けるのは、武知理事長が率先してスタッフからのフィードバックを受けているからだ。
「『患者さんに対するあの時の態度はよくなかった』『もっと時間を大事に考えてください』と率直な意見をもらっています。私自身がそれを正しく受け止めることが他の幹部の見本になりますし、その姿を新入社員が見て『相手に忖度(そんたく)せずに意見を言っても許される職場なんだ』と思ってくれるようになりました。それが組織の心理的安全性につながると考えています」
残業時間削減など、働きやすさも改善
働きがいと合わせて、働きやすさの改善にも取り組んできた。1つは就業時間の変更だ。これまで午後8時までだった診療時間を午後6時に変更。これによって残業時間の削減につなげた。スタッフ同士のサポート体制を構築し、休みを取りやすい環境づくりにも力を入れている。
就業時間が短くなり、休みが取りやすくなると「副業をしたい」という要望が出るようになった。その際も理事長がトップダウンで決めるのではなく、各チームのリーダーと話し合いをして、結果的に、条件付きで副業を認めるよう制度を変更した。
さらに、GPTW Japanのエンゲージメントサーベイ(従業員意識調査)を活用し、自社の強み・弱みを知ったことで新たな取り組みが始まっている。
「例えば『この会社では、働きに見合った報酬が支払われている』という調査項目では、他社よりも低い評価ポイントでした。早々に、22年から社員と一緒に人事制度をゼロベースで作り直しています。社員の意見を反映した新制度によって、さらなる働きがい向上に努めていきます」